その王子様、結婚してるってよ!
私と星野稜は、所謂ところの幼馴染。
私達は、お隣さん同士だった。
生まれた時には、既に稜ちゃんはいて赤ちゃんだった私のお世話をしていたと。
3人兄弟の末っ子だった私は、二人の兄から溺愛されて育った。
稜ちゃんと同い年の上の兄の秋は、八つ違い。
下の兄の捺は五つ違った。
3人もの兄がいて、私はお姫様状態…と、思いきや。
兄達と違って稜ちゃんは、とっても意地悪だった。
ピンクのスカートを履いて喜ぶ私に茶色の絵の具をぶっかけたり、虫が嫌いな私の肩にカブト虫の幼虫を乗っけたり。
最初のうちは、下の兄のイタズラだと思い稜ちゃんに助けを求めて抱きついてた。
でもそれらのイタズラが稜ちゃんの仕業だとわかったのは、小学生高学年の時。
稜ちゃんと秋兄は高校生だった。
まあまあ顔がいい秋兄と王子様の稜ちゃん。
二人のファンの女の子が我が家とお隣の稜ちゃん家に群がっていた。
邪魔くさい…そう言った私は、ファンの女の子達に睨まれた。
そして、生意気だと綺麗なネイルの爪で引っかかれた。
それに怒ったのが、稜ちゃんだった。
春にイタズラしていいのは、春を泣かせていいのは、俺だけだと、物凄く真っ黒な笑顔で言った。
あの笑顔は、今でも思い出すだけて身の毛がよだつ。