糖質は控えめで。
とりあえず人を探そう。
そう思って辺りを散策する。

にしても広い。
天気も良くて空気も美味しい。
この街は一体どこなのだろうか。

失恋したばかりと思えないような心の穏やかさを感じていた。

「うっ･･･ううっ･･･」

誰かのすすり泣く声を聞くまでは。
自慢じゃないが私はお節介だ。
泣いてる人は放っておけない。
そんな自分にため息を零しつつ、泣いている女の子に声をかけた。

「あ、あのー、大丈夫ですか？」

鼻をすすり、私を見つめてくる女の子。
彼女はとても愛らしく人形のようだった。ミルクティーブラウンの髪はゆるく巻いてあり、薄化粧なのにおめめパッチリで涙がまあ可愛らしさを増大させている。

「貴方は･･･？」

「私は沙奈恵っていいます。これ、良かったら食べて。
泣いている理由は分からないけど、ちょっとは元気になるかもしれないから」

ハンカチとケーキを差し出すと彼女はおずおずと手を伸ばし、「ありがとう」と笑う。可愛いなおい。

「わたくしはエミリーといいますの。
エミリー･ブラウン」

見た目からして予想はしていたが彼女は海外の人らしい。

「ケーキとても美味しいわ！
それよりサナエは面白い服を着ているのね」

ケーキを美味しそうに頬張る彼女はいつの間にか笑顔になっていた。

「え？そうかな」

自分の格好を見てみるとTシャツにショートパンツ。そんなに変だろうか。
エミリーを見てみる と服装もドレスだし、彼女が言うにはショートパンツが見たことないとかなんとか。

嫌な汗が背中を流れた。

もしかしてほんとに私は異界に来たのだろうか。
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