【短編】甘酸っぱいコイゴト
「いままでありがとう…」
「えっ…――?」
「……バイバイ。」
っ……!!
私は、最後の言葉を発したと同時に走りだした。
わたし……ちゃんと笑えてたかな?
泣き顔なんて見られたくない
こんな未練たらたらな姿
見られなくない
自分から言った言葉なのに
後悔の気持ちでいっぱい
苦しい気持ちでいっぱいだよ
優弥の顔ばかりが頭に浮かぶよ
これで よかったんだよね……?
優弥にとっても
私にとっても
これが一番いい方法だったんだよね…?
いつの間にか
立ち止まってしまった。
いるはずもないのに……
後ろを確認してしまった
追ってくるはずなんてないのに
優弥にとって私なんて……
でも…
それでも私 期待してた
走って追いかけてくれるんじゃないかって…
何か言葉をくれるんじゃないかって
“好き”って…
言ってくれるんじゃないかって…
バカみたいに期待してた
「………ホント…バカだよね…」
もう……
私達の恋は
――終わってしまったというのに……