許婚のいいなり
「ウチの…こと?」

こくりと頷いた。

「そ、そんなの、気にしなくていいのに!ウチは大丈夫だから頭上げて?」

ね?と念を押すとゆっくり上げた。
顔を覗き込むとうっすら涙が浮かんでいる。

「…こうきも色々考えてたんでしょ?」
「…え?」
「小説はどんな物語にしようとか、長編か短編かとか色々と。こうきは本の話してたり考えてたりすると顔が笑ってるんだよ?」
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