許婚のいいなり
こうきの顔を見るといつの間にか涙は消えていて、いつものような優しい顔に戻っていた。

「せんり、ありがとう」
「ってか小説家って言ったのはウチだし、気にしてないよ…あとね」

首をかしげて次の言葉を待つように促す。

「なんか辛いこととかさ、あったらウチに言って欲しいな…なんて」

エヘへと少し照れて言うと、真面目な顔でこちらを見つめる。
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