君は生徒、愛してはいけない
第1章 新学期
春、新学期。
今日は俺の誕生日。
「えー、2年3組の担任になりました、
日本史の中村 渉(ナカムラワタル)です。
今日から1年間よろしくな」
今年で高校教師になって5年目、俺は今日27歳になって、人生で初めて担任としてクラスを受け持つことになった。
神様から、最高の誕生日プレゼントだ。
少し緊張気味だったが、今年2年になった彼らには去年から授業をしていたので見慣れた顔ばかりだ。
『中村先生で良かったー!』
『1組なんて最悪だよね、田口先生だよ!』
「こら、そうゆうこと言わない」
ははは、とクラス全体に笑い声が響く。
俺は周りの先生方と比べて彼らと歳が近いせいか、みんなとても慕ってくれている。
生徒から歓迎されるのはとても嬉しかった。
「じゃあとりあえず出席でもとってみようかな!」
「1番、青山 華(アオヤマハナ)!」
「、、、はい」
新学期が始まってワクワクを隠せない生徒たちの楽しげな雰囲気の中で、
青山は静かに返事をした。
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