君は生徒、愛してはいけない

翌日、朝早くにインターホンが鳴って目が覚めた。


寝起きで玄関のドアを開けると、新しいコートを来た華が愛らしく立っていた。


「全然眠れなくてもう来ちゃった。
入ってもいい?」


俺の返事を待たずに華はおじゃましまーすと言って部屋に入って来た。


いつもより少し大きなかばんをソファの横に置いてベッドに座ると、毛布を抱きしめて言った。

「先生のにおい」

俺は少し照れくさくなって、華から毛布を取り上げた。


華はふふ、と可愛い顔で笑って、朝ごはん作ってあげる!と元気にキッチンに向かった。


俺は荷造りをして風呂に入った。

風呂から上がるとテーブルにおばあさんが作るような一人暮らしには豪華すぎる朝食が並んでいて、華はもう正座して待っていた。

華が作った朝ご飯は、本当に美味しかった。


俺はもう旅行なんて行かなくても十分幸せだ。



< 115 / 215 >

この作品をシェア

pagetop