君は生徒、愛してはいけない
華を見ているとあっという間に時間が経つ。
新幹線に乗る駅までの30分間のタクシーの時間は、あっという間に終わった。
華を先に車から降ろしてタクシー代を払うと、
タクシーの運転手さんはガッツポーズを俺に見せた。
「にいちゃん、旅行がんばれよ!」
このおじさんは俺と華を恋人だと思ってるらしい。
まあそれ以外に自然な関係はないか、と思ったので、ありがとうございますと言っておじさんと拳を合わせた。
駅で新幹線の乗り場を探していると華が手を繋いで来たので、もうちょっと待って、と言うと、
華は顔を膨らませて俺の服の裾を掴んだ。
いちいち可愛い華に俺は余裕がなくなっていく。
新幹線に乗って少しすると、華は俺の肩に頭を預けて眠っていた。
長いまつげ、白い肌。
柔らかそうな唇。
俺は誰にも気付かれないように華にそっとキスをした。