君は生徒、愛してはいけない
「あぁ、華ちゃん?超可愛いでしょ」
「そうそう、青山さん。下の名前華って言うんですね〜」
松本先生が言う。
「でもあの子イマイチつかめないのよね。
中村くん去年はどんな感じだった?」
俺は何か嫌な感じがした。
華が可愛いのは俺が一番知っている。
それに去年初めて会ったやつに華のことを華と呼ばれたくはなかった。
「中村くん?」
「あぁ、すみません。
僕もあんまりよくわからないですけど、成績もいいし優秀な子ですよ。
よく学校サボるけどね」
本当は華がどんなやつか、俺はもっともっと知っている。
可愛くて甘え上手で、おばあさんが大好きで、俺のことをお兄ちゃんと呼んで、、、
でもこんなところでは言えない。
「へぇ、ますます可愛い」
頬杖をつきながら口角を上げた福野が言った。
「福野くん女子生徒にかっこいいって言われてたもんね〜
でも華ちゃんはダメよ、みんなの華ちゃんだから」
松本先生の言葉を聞いてないフリをした。
神様はそんなに甘くない。
誕生日に嫌な話を聞いてしまって、やっぱり華とおばあさんとご飯を食べたかった、と思った。
俺は福野が華に対して、
俺と同じ気持ちを持たないことを心の底から強く願った。