君は生徒、愛してはいけない


次の日は仕事を早く終わらせて、青山家に向かった。


おばあさんと華がご飯を作って待ってくれている。


今日はハンバーグだ。


「先生おかえり!ご飯食べよ」


玄関のドアを開けると、華は走って出迎えに来てくれた。

3人でおいしいご飯を食べて、ケーキを食べて、ビールを飲んで、たくさん楽しい話をして、

昨日はあまりいい日ではなかったものの、俺はとても幸せだった。


「これあげる。おばあちゃんとあたしからだよ」


華は腕をピンと伸ばして可愛く包装された長細い箱を俺に差し出した。



まさか28歳にもなって、誕生日にプレゼントをもらえるなんて思ってもいなかった。


「、、ありがとう。開けていい?」


うん、と2人はにこにこしながら箱を開ける俺を嬉しそうに見ている。



中を見ると、ネクタイが入っていた。


「つけてくれる?」


俺は嬉しくて、涙が出そうになるのを必死に我慢した。


「うん、つける。毎日つける。ありがとう。
おばあさんもありがとうございます」


「喜んでくれてよかった。ね、華ちゃん」


その日から俺は、毎日華とおばあさんにもらったネクタイで学校に行った。

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