君は生徒、愛してはいけない

福野の言葉



ある日の昼休み、学校の給湯室でコーヒーを淹れていると窓から見える渡り廊下に華の姿を見つけた。


もちろん華は俺に気付いてなんかいなくて、同じクラスの子と3人で歩いていた。

久しぶりに華を見た俺は、華から目が離せなくてずっと窓の外を眺めていた。


「中村先生」

振り返ると島田が立っていた。

「コーヒー溢れてますよ」

手元を見るとポットから出したお湯がマグカップから溢れていた。

島田は口を押さえてクスクスと笑って、何見てたんですかと言いながらテーブルを拭いてくれた。

「あっごめん、ありがと」

「中村先生もそうゆうところあるんですね」

島田はにこっと笑って俺の隣でコーヒーを淹れ始めた。

するとそこにちょうど福野が来て、俺たちに向かって言った。

「あ、お楽しみ中でしたか。すみません」

俺は意味がわからなくてこぼしたコーヒーを拭きながら福野を見た。


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