君は生徒、愛してはいけない
午後の授業と終礼を終えて、俺はすぐに職員室に向かった。
もう放課後だ。早く帰りたい。
さっき福野に聞いた話が、ずっと思考を独占していた。
福野と華がふたりきりで居る教室。
想像するだけで同じ建物に居るのが嫌だった。
居たって俺は何もできない。
ずっと考えながら早足で歩いていると廊下で生徒とぶつかった。
「あっごめん、大丈夫か」
そこに居たのは華だった。
「先生、どこ見て歩いてんの」
久しぶりに聞いた華の声は、俺の胸を締め付けた。
華は相変わらず天使のような顔でこっちを見て笑っている。
ーーーー俺の愛おしい華。
思わず華の頭を撫でそうになったが、福野の言葉が頭をよぎり体が動かなくなった。
「先生?大丈夫?痛かった?ごめんね」
何も言わない俺を見て、華は笑顔を消して心配しているようだった。
「、、、ごめん」
それしか言えなくて、俺を見る華をかわして廊下を進んだ。