君は生徒、愛してはいけない
「今日は渉くんが来てくれるって言うからハンバーグにしたの!
華ちゃん呼んできてくれる?」
「ほんとですか!嬉しいです」
おばあさんはいつもより明るくて楽しそうで、俺が来たことをとても喜んでくれているようだった。
華を呼びに2階に上がると、また部屋の扉が開いていた。
華はベッドに寝転がって俺があげたミュシャの画集を見ている。
前にノックしろと怒られたので、壁をコンコンとノックした。
「ご飯ですよ」
俺に気付いた華はすぐに本を閉じて、クリスマスプレゼントを見つけた子供のように目を輝かせながら真正面から俺に飛びついて来た。
「やっと来てくれた」
可愛い華の頭は撫でる方も気持ちがいい。
「最近忙しくて。ごめんな」
「おばあちゃんが毎日毎日先生のことばっかり聞いてくるの。
いつ来るのとか忙しいのとか痩せてないかとか」
おばあさんの気遣いが嬉しくて、勝手に口角があがる。
「ちょっと痩せたから今日取り戻す」
ふたりではは、と笑って階段を降りた。