君は生徒、愛してはいけない

夏休みは仕事がいつもより早く終わる。


おばあさんは最近、もう渉くんの分は毎日用意してあるから、と言って俺を毎晩招いてくれた。


「明日、ひとみと梨花と花火大会行くの」

3人でご飯を食べていると、華が嬉しそうに言った。


「あら、じゃあおばあちゃんが浴衣きせてあげる。
渉くんは行かないの?」

おばあさんは優しい顔で俺に聞いた。


「いえ、僕は一応先生なので」

「先生来たらひとみと梨花がびっくりしちゃうよ」

「あら残念、、
渉くん背が高くて浴衣似合いそうなのに」


青山家で夕飯を食べているときの、何気無い会話が好きだ。

心から幸せだと感じる。


「人多いから気をつけろよ」

俺は華にそう言って、ごちそうさまでした、と手を合わせた。


「、、梨花は喜ぶかもね」

小声で言った華は悪そうな笑顔で俺を横目に見た。


華は森にも佐藤にも俺のことを言っていないようだ。

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