君は生徒、愛してはいけない

おばあさんが風呂から出て来て、次は華が風呂に入る。


おばあさんは俺にお茶を入れてくれて、俺の隣に座った。


「華ちゃん、まだサラなの?」

俺は思わず飲んでいたお茶を吹き出しそうになってしまった。


「あらあら渉くん、私だって昔は女だったのよ」

「、、そうですよね。話聞いてたんですか?」


おばあさんはちょっとだけね、と華によく似た顔でいたずらっぽく笑う。

「もうとっくの昔に終わっちゃってると思ってたけど案外ピュアなのね、あの子」


おばあさんが昔どんな女性だったのかすごく気になる一言だったが、聞くのも失礼な気がしたので心の奥にそっとしまっておいた。


「彼氏とか連れて来たことあるんですか?」

「一回もないのよそれが。
そんなことしてたらあたしの息子、華ちゃんの父親が許さなかったと思うわ。
とっても可愛がってたから」

そう言えば、家の奥にある仏壇がある部屋にお邪魔して何度か手を合わせたことはあったが、華からお父さんの話を聞いたことは一度もなかった。


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