君は生徒、愛してはいけない
松本先生が歩き出すと、それについていこうとする島田がすれ違う人とぶつかった。


よろけた島田がぶつかってきたので、俺はとっさに受け止めた。

「すっ、すみません、、」

「いいよ、大丈夫?俺の前歩けよ」


島田は体が小さいので、本当にすぐ居なくなりそうだ。

「いいな〜俺も華ちゃんがこけそうなとこ助けてカッコイイこと言いたい」

横からそう言ってきた福野に、俺はつい言ってしまった。


「お前さあ、華ちゃん華ちゃんって青山のなんなんだよ。
校長に言うぞ」

「それだけはやめてください」

冗談だと思ったのか、福野は笑いながら返してきた。


「でも僕結構本気ですよ。
華ちゃんが卒業したら告白します」


そんなことを教師仲間に平気で言える福野が、俺は少し羨ましかった。



俺も華が好きだ、

お前が知らない華の顔もたくさん知ってる、


そう言いたかったが、お兄ちゃんと言う言葉が邪魔をして言えなかった。
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