君は生徒、愛してはいけない
大人の階段
12月になった。
もうすぐクリスマスだ。
大人の階段を登った華は、前以上にちやほやされるようになった。
「最近華ちゃんがほんとに可愛くて、、
前から可愛かったんだけどなんていうか
色っぽくなったっていうか、、」
給湯室で松本先生が不思議そうに言っている。
俺は勝手に緩んでいく口元をコーヒーが入ったマグカップで隠して、へー、としらを切った。
「ですよね、僕が本気になるのもわかるでしょ」
福野は前に乗り出して松本先生に共感を求めた。
「わかるよ、私でもさらいたいくらい可愛いけど、あんたには渡さない」
「え〜なんでですか〜
まあ華ちゃんに好かれたらそれでいいんですけどね」
俺は福野に、気安く華ちゃんとか呼ぶな、と思いながらふたりの隣でただ会話を聞いていた。
「中村くんはどうなの?」
「、、何がですか?」
「香織ちゃんだよ。あれから何もないの?」
松本先生が小声で言うと、福野も興味津々な顔で俺を見た。
「あぁ、別になんもないですよ。
僕結婚したいと思ってる子が居るんで」
松本先生と福野は目を丸くして言葉を失くしている。
俺はフフッと笑って給湯室を出た。
「なにいまの幸せそうな顔」
「中村先生って彼女いましたっけ」
後ろから小さくそう聞こえてきたが、無視した。
実は数日前、華の誕生日にプロポーズしようと決めた。