君は生徒、愛してはいけない

教室に戻って生徒たちと最後のHRを行なった。


島田は俺の隣で喋れないほど泣いている。


「春からみんな大学生になったり働いたり、、、
まあもう一回高校生をするやつも中にはいるけど」


泣いている生徒たちに少し笑いが起こる。


「でも俺はずっとみんなの先生でいようと思ってます。
悩み事があったらいつでも学校に来い!
ハタチになったらみんな飲みに連れてってやるからな。

俺もみんなのおかげで少しは教師っぽくなれたかなと思います。
みんなありが、、」


最後に生徒たちに感謝を言おうとしたが、感情が溢れて最後まで言えなかった。


『先生泣かないで』

『また会いに来る』


みんなそう言ってくれた。


島田が泣きながら一生懸命挨拶して、またつられて泣いてしまう。


俺こんなに涙もろかったっけ。


「はい、じゃあ解散」


泣き笑いながらそう言うと、生徒たちが教壇に集まってきてみんなで集合写真を撮った。



泣きながら帰る生徒たちを教室のドアで送り出す。


「先生」

佐藤が目を赤くして俺の前に立っていた。


「先生、ごめんね。ありがとね。
優しくしてくれて嬉しかった」


「おう。俺もありがとな」

そう言ってまた泣き出す佐藤の頭に手を置くと、佐藤は俺の目を見て笑顔でバイバイ、と言って帰って行った。

< 208 / 215 >

この作品をシェア

pagetop