君は生徒、愛してはいけない


「渉!ごめん遅れて!」


哲平が小走りで駅の階段を降りてくる。


「いいよいいよ、始業式は大変だな」

「ほんとだよ!ロクでもねえババアが隣のクラスの担任で参ったよ〜」

はは、と笑い合い、ふたりで歩き出した。



「今日は渉の祝いだから店予約してんの!

カワイイ子いっぱいいるかもよ〜?」

哲平は肘で俺をつつきながら嬉しそうに言った。


「渉もたまにはカワイイ子と酒でも飲まねーと男が腐っちまうぞ」

「余計なお世話だよ」



冗談を言い合いながら俺の家の最寄駅から歩いてすぐ、

着いた店は雑居ビルの2階、こじんまりしたスナックだった。



「え〜俺こうゆうとこ初めてなんだけど」

「大丈夫大丈夫!入ろ!」


哲平が店のドアを開けた。
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