君は生徒、愛してはいけない
「それなに?」
「今日1組の佐藤が貸してくれたんだ、宮本武蔵の本。」
「、、ふーん」
「華も最近仲良いだろ?いつでも元気だよなあいつは」
華は少し黙って、じっと本を見つめた。
「、、うん。
今日梨花が先生のこと話してたよ」
「はは、そっか。悪口じゃないよな?」
冗談のつもりで笑いながら華を見ると、華は全然おもしろくなさそうにずっと本を見つめていた。
「お兄ちゃんみたいで好きって言ってた」
俺は女子高生からお兄ちゃんと呼ばれる運命なのかも知れない。
「お兄ちゃんか、まあ嫌われるよりいいな」
俺はなんとも思わずにまた本を読み始めると、視界に華の手が入ってきた。