君は生徒、愛してはいけない
華は白くて細い指で本をそっと閉じて言った。
「、、やだ」
下を向いてぼそっとつぶやく華の手は、本と俺の手に触れていた。
「、、なにが?」
「梨花のお兄ちゃんにならないで」
先生はあたしのお兄ちゃんだもん、と聞こえてきた気がした。
でも
俺は華のことを生徒とも妹とも思っていない。
「、、俺は誰のお兄ちゃんでもないし、みんなのお兄ちゃんでもいい」
華は泣いていた。
華が泣くのを見るのは久しぶりだった。
いつみてもガラスみたいに綺麗な涙だ。
「大丈夫、ひとりぼっちにはしないよ」
俺は華の頭をくしゃくしゃと撫でた。
華は頭を撫でると喜ぶ。