君は生徒、愛してはいけない


でも今日は違った。


華は俺の手をパシッと払いのけて言った。

「みんなのお兄ちゃんなんかいらない!」


華はそう言って2階の自室へ行ってしまった。


どうしていいのか本当にわからない。

ーーーーでも、今日は帰ろうと思った。



俺は階段から呼びかけた。

「華、帰るぞ」


華からの返事はなかった。


鍵かけとけよ、ともう一度呼びかけて、青山家を出ると、


さっき閉めたドアの向こうから鍵をかける音と、華の泣く声がかすかに聞こえた。



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