君は生徒、愛してはいけない
俺はなんとか落ち着こうととりあえず席に座ることにした。
青山にはその場しのぎで「おう、久しぶり」とだけ言っておいた。
でも
こんなところで高校生、ましてや自分のクラスの生徒が目の前で酒を作っている。
俺は今日こいつの担任になった。
だめだ。
何度考えてもだめだ。
時間が経つにつれ酔っ払っていく哲平の隣で、俺は最低限しか喋らずずっと葛藤していた。
「先生、華ちゃんは可愛くってとっても人気なのよ。
平日は毎日お店に来てくれるし、助かってます」
ママが青山の頭を撫でながら言った。
店にいるホステスは青山を入れて3人。
確かに一番可愛い顔をしている。
「そうですか」
こいつはまだ高校2年生だ、
俺はこいつの担任だ、
どんな理由があっても今すぐ連れて帰らなければ。
そう決心した直後、
「あら、もう12時ね、みんなあがっていいわよ。
今日もありがとう」
青山達はお疲れ様です、と言って帰りの支度を始めた。