君は生徒、愛してはいけない
華が2階から降りて来た。
おばあさんが帰ってくるワクワクを隠しきれない華は、とても嬉しそうだった。
「華、13時に病院だからまだ気が早いぞ」
「だって楽しみなんだもん」
鼻歌を歌っていた華の軽い足取りが、急にピタッと止まった。
「でも、、先生と2人でご飯食べるのはもうないね」
確かに、考えてみればそうだった。
華との2人きりでの食事は昨日が最後だったけど、俺達はおばあさんのことで頭がいっぱいで気が付かなかった。
「ほんとだ。
もっと噛み締めとけばよかった」
冗談ぽく言ったつもりだったが、結構本心だった。
「でもおばあさんと3人の方がもっとおいしいよ」
「そうだね、おばあちゃん喜ぶよ」
喜ぶといいな、と思った。
華のおばあさんは、俺のばあちゃんでもあるんだ。
なんて考えていると、ソファに座る俺の後ろから華の腕が絡みついて来た。