君は生徒、愛してはいけない
夜の散歩
俺はいつも通る道ではない道をひたすら歩いた。
少し向こうに駅が見えるが、もうここがどこかあまりわからない。
華は俺に手首を掴まれたまま、無言でついてくる。
この空気をどうにかしたくて、俺は歩きながら華に言った。
「華、俺は佐藤と恋人にはならないし、
お兄ちゃんにもならない。
家にも行かない、ご飯も食べない。
華と毎日ご飯を食べたのは、、」
考えがまとまっていなくて、続きの言葉が詰まる。
華はなにも言わずに聞いている。
「自分でもなんでかわからない、、」
俺は先生なんだ、
華が好きだからとは言えない。
最初はそうじゃなかったにしても、今はもうそれでしかない。
考えながら歩いていると、踏切の遮断機が目の前に降りて来た。
そろそろ終電の時間だ。