君は生徒、愛してはいけない
「うん、ありがとな。」
佐藤はその場でしゃがみこんでしまった。
「おい、授業始まるぞ」
俺も佐藤と同じように廊下にしゃがみ込み、佐藤の顔が上がるのを待った。
「先生は優しいね」
顔を上げた佐藤は目にいっぱい涙をためていた。
「、、朝から泣くなよ」
俺はそう言いながらもう一度本を佐藤に差し出した。
本を持った俺の手は、手首ごと佐藤に掴まれて
佐藤は誰もいない廊下で俺の唇を奪って逃げていった。
一瞬の出来事だった。
気付くと俺の手の中に本はもうなかった。