君は生徒、愛してはいけない
俺はそんなわけないでしょ、と言う目で松本先生を見た。
「なーんだ、つまんない」
「じゃあ松本先生は男子生徒好きになるんですか?」
俺は少しムキになって言った。
「男子生徒は好きにならないかな〜。
でも私が高校生の時は、先生と付き合ってたよ」
「え!ほんとですか」
「ほんとほんと。卒業して大学生になって別れちゃったけどね。
でもその人がきっかけで教師になったの」
松本先生は可愛いものを見るような目で俺を見て、こう続けた。
「別にいいんじゃない?バレなきゃ。」
俺の頭には華の顔が浮かんで、なにも言えなかった。
「今の話、他の先生にはナイショね。
中村くんのこともナイショにしといてあげるから」
そう言って給湯室から出て行こうとした松本先生を、俺は引き止めた。
「松本先生、今日飲みに行きませんか」
ニコッと笑った松本先生は、いいよ、と言って給湯室を出て行った。