君は生徒、愛してはいけない
松本先生の家までの道のりでも、俺たちの会話はずっと止まらなかった。
「ありがと、駅まで帰れる?」
「大丈夫です、酔っ払ってませんから」
「嘘ばっかり」
松本先生のマンションの前で冗談を言って笑い合う。
「中村くんはいい先生だね、一生懸命で」
突然の言葉にドキッとした。
「、、そうですか?」
「うん。正義感があって、生徒を大切にしてて、優しくて、背が高くてカッコイイ」
さっきまで散々からかってきたくせに、急に褒められて恥ずかしくなった。
「ありがとうございます」
「素直なところもいい!」
「、、からかってるでしょ」
松本先生はまたふふ、と笑って言った。
「からかってないよ。
私も女子高生だったら、中村くんのこと好きになってたかも」
そう言いながら松本先生は長い腕を真正面から俺の肩に乗せて、俺と額を合わせた。
突然の展開に俺はかなり動揺した。