じいちゃんのハンバーグカレー
片付けが済むと、母ちゃんは俺を風呂場に連れていき、一緒に風呂掃除をした。
ブラシの使い方や泡の流しかたを教わって、お湯をためる。
「お風呂がたまるまで、遊んで待ってようか」
母ちゃんはかるたやらすごろくやらトランプ、将棋にカードゲームまで山ほど持ってきて畳の上に広げた。
「ジロ。どれからやろうか」
「えーっ…そうだなあ…じゃあ、最初はトランプ!ババ抜きからね!」
「よーし。手加減しないからね」
札をきって、二人で分ける。二人だからあっという間に勝負がついて、今度は神経衰弱。そのあと七並べ、それからドーナツ。
トランプに飽きたらすごろく。
それからお気に入りのカードゲーム。かるた。
最後に将棋。
ルールを覚えたての俺は、いつも母ちゃんに負けっぱなしだったけど、その日、俺は初めて母ちゃんに勝ったんだ。
喜ぶ俺に、母ちゃんは悔しがっていたけど、それは口だけで、本当は顔中にこにこさせて笑っていたんだ。
気がすむまで遊んで、俺があくびをすると、母ちゃんは将棋を片付けながら聞いた。
「そろそろお風呂に入ろうか」
「うん。逆上がり頑張ったから、眠くなっちゃった」
腹も、気持ちも満足して、俺はいい気持ちで風呂に入った。
丁寧に頭を洗ってもらって、暖かい湯船に浸かると、母ちゃんが目の周りを指できれいにしてくれた。
母ちゃんが、手で作った水鉄砲から、タイルの壁に水を飛ばした。
俺も負けずに飛ばしたら母ちゃんの顔にかかって、母ちゃんが「ブッ」て言った。
俺は楽しくなって、何度も水を飛ばした。母ちゃんの水鉄砲からも水が飛んできて、俺たちはびしょ濡れになりながら風呂から出てきた。
寝る前に、明日のご飯を研いで、炊飯器にかけた。
きれいに研ぐ方法や、水加減を教えてもらって、俺は自分でご飯のタイマーをセットした。
「炊飯器の種類は色々あるけど、大体こんな感じでやるんだよ」
俺は大きく頷いた。
それから、机が三つもあって、狭い子供部屋に二人で布団を敷いて、冷房を快適な温度にセットして、母ちゃんは読みきれないくらいにどっさり本を持ってきた。
「何から読もうかね」
「あ、俺、名探偵山ちゃんと、アサダ食品店の謎がいい!」
「オッケー。じゃ、名探偵からね」
何度も読んでもらった名探偵シリーズ、母ちゃんが飽きても、何度も持ってきてはせがんだアサダ食品店の謎。それに、もっとずっと小さかった頃に読んでもらった、赤ちゃん絵本。食べ物の本に、動物の本。乗り物、冒険…
母ちゃんが隣に寝そべりながら、本を読んでくれる。台風や雷の日は、母ちゃんにしがみついて、ああ、暖かいなあって安心しながら寝たっけな。
もっと小さい頃は、母ちゃんの膝に座って、寝付くまで読んでもらったけど、さすがに小学生になって、母ちゃんが大変そうだったからやめたんだ。
もっともっと聞いていたかったけど、母ちゃんの声が子守唄みたいになって、いつしか俺は眠りに落ちていった。
母ちゃんが頭を撫でてくれるのを気持ちよく感じながら、俺はぐっすり寝てしまったんだ。
ブラシの使い方や泡の流しかたを教わって、お湯をためる。
「お風呂がたまるまで、遊んで待ってようか」
母ちゃんはかるたやらすごろくやらトランプ、将棋にカードゲームまで山ほど持ってきて畳の上に広げた。
「ジロ。どれからやろうか」
「えーっ…そうだなあ…じゃあ、最初はトランプ!ババ抜きからね!」
「よーし。手加減しないからね」
札をきって、二人で分ける。二人だからあっという間に勝負がついて、今度は神経衰弱。そのあと七並べ、それからドーナツ。
トランプに飽きたらすごろく。
それからお気に入りのカードゲーム。かるた。
最後に将棋。
ルールを覚えたての俺は、いつも母ちゃんに負けっぱなしだったけど、その日、俺は初めて母ちゃんに勝ったんだ。
喜ぶ俺に、母ちゃんは悔しがっていたけど、それは口だけで、本当は顔中にこにこさせて笑っていたんだ。
気がすむまで遊んで、俺があくびをすると、母ちゃんは将棋を片付けながら聞いた。
「そろそろお風呂に入ろうか」
「うん。逆上がり頑張ったから、眠くなっちゃった」
腹も、気持ちも満足して、俺はいい気持ちで風呂に入った。
丁寧に頭を洗ってもらって、暖かい湯船に浸かると、母ちゃんが目の周りを指できれいにしてくれた。
母ちゃんが、手で作った水鉄砲から、タイルの壁に水を飛ばした。
俺も負けずに飛ばしたら母ちゃんの顔にかかって、母ちゃんが「ブッ」て言った。
俺は楽しくなって、何度も水を飛ばした。母ちゃんの水鉄砲からも水が飛んできて、俺たちはびしょ濡れになりながら風呂から出てきた。
寝る前に、明日のご飯を研いで、炊飯器にかけた。
きれいに研ぐ方法や、水加減を教えてもらって、俺は自分でご飯のタイマーをセットした。
「炊飯器の種類は色々あるけど、大体こんな感じでやるんだよ」
俺は大きく頷いた。
それから、机が三つもあって、狭い子供部屋に二人で布団を敷いて、冷房を快適な温度にセットして、母ちゃんは読みきれないくらいにどっさり本を持ってきた。
「何から読もうかね」
「あ、俺、名探偵山ちゃんと、アサダ食品店の謎がいい!」
「オッケー。じゃ、名探偵からね」
何度も読んでもらった名探偵シリーズ、母ちゃんが飽きても、何度も持ってきてはせがんだアサダ食品店の謎。それに、もっとずっと小さかった頃に読んでもらった、赤ちゃん絵本。食べ物の本に、動物の本。乗り物、冒険…
母ちゃんが隣に寝そべりながら、本を読んでくれる。台風や雷の日は、母ちゃんにしがみついて、ああ、暖かいなあって安心しながら寝たっけな。
もっと小さい頃は、母ちゃんの膝に座って、寝付くまで読んでもらったけど、さすがに小学生になって、母ちゃんが大変そうだったからやめたんだ。
もっともっと聞いていたかったけど、母ちゃんの声が子守唄みたいになって、いつしか俺は眠りに落ちていった。
母ちゃんが頭を撫でてくれるのを気持ちよく感じながら、俺はぐっすり寝てしまったんだ。