NO NAME
「ねえねえ、しおりって呼んでいい?」
「ぱっと見男みたいだねー」
「家の事情で転校って何があったの?」
「ここの編入試験難しかった?」
「なんでうちなの?」


窓側の後ろの席、つまり私の隣の席に座った今野さんの周りは休み時間になると一気に人だかりができた

今野さんは一つ一つの質問に気さくな笑顔で丁寧に答えていく

「今野さん?だっけ?見た目のインパクトも人気もすごいねー」
「……私あの席に帰るの怖い」

綾は女の子の転校生で喜ぶかと思ったけど、意外にも「タイプじゃないから」ってあっさりしてた

私は今野さんの外見から、悪いけどどう見ても男子が隣にいる気がして、落ち着かなくて、綾の席へ逃げていた
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