難攻不落な彼に口説かれたら
髪の毛をかき上げ半狂乱になっていると、背後から片岡君に抱き寄せられ、ベッドの上に座らされた。

「落ち着いて。今日は土曜だからそんな慌てなくても大丈夫だよ」

嘘……!片岡君……起きちゃった!

どうする?どうする?

心臓はバクバクいっている。

逃げようにもこんな格好じゃ逃げられない。

……なんて彼に言えばいいの?

どう言えば、片岡君に迷惑がかからない?

自分の肩を抱きながらブルブル震えていると、彼が動き回る気配がして、頭の上からバサっとTシャツのようなものを被せられた。

「ほら、腕も通して」

頭がスポッと出ると、片岡君に言われるまま袖に腕を通す。

「で、どうしてそんな泣きそうな顔してんの?」

子供に言うように優しくそう声をかけると、片岡君は横に座り、私の顔を覗き込んだ。
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