難攻不落な彼に口説かれたら

「ベッドの中では俺のこと名前で呼んでくれたのにな。もう一度ベッドに戻って愛し合う？」

……む、む、無理〜！

千切れそうな程ブンブンと首を横に振ると、片岡君は私の目を見てクスッと笑った。

「それは、残念。じゃあ、身体少し冷えたし、何か温かいものでも飲もうか」

片岡君は素早く部屋着らしきグレーのスェットを身につけると、私の身体を軽々と抱き上げる。

「か、片岡君、私……歩けるよ」

つっかえながらそう主張するが、片岡君は譲らなかった。

「初めてだったんだよね？無理しなくていいよ」

……経験なかったのバレてる〜！

恥ずかしくてまともに片岡君の顔は見れなかった。

気まずくて無言になる私。

面倒な女って思われていないだろうか？

二十で処女なら可愛いって思うけど、二十七で経験ないと逆に野暮ったく思われがちだ。