難攻不落な彼に口説かれたら
親友にだって〝天然記念物〟って言われてからかわれた。

本当に私とこんなことになって後悔してないのか不安になる。

片岡君は長い廊下を歩くと、ガラス張りの部屋に私を運んだ。

そこは、三十畳ほどの広いリビング。奥には暖炉もあって、まるで西欧のお家みたい。

高級そうな白い革張りのソファに私をそっと下ろすと、彼は私にチュッと軽いキスをした。

「ちょっと、待ってて」

そう言って、隣りにあるキッチンに向かう片岡君。

ひとりにされ、ボーッと窓の外を眺める。

高層階なのか、目の前には高層階ビル群が見えた。

こんな綺麗な景色を目にすると、余計にまだ夢を見てるような気がしてならない。

片岡君もすごく優しいんだもん。

「……やっぱり夢かも」

ギュッと自分の頬っぺたを摘んでみると、ズキッと痛みを感じた。
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