難攻不落な彼に口説かれたら
すると、あいつが俺達を待ち構えていた。

従弟の小野寺拓海。

『片岡さん、これから二次会もあるでしょう?中村さんは僕が送っていきますよ』

拓海は人懐っこい笑顔を向けてくるが、その目は挑戦的だ。

やっぱこいつ雪乃を狙ってる。

『いや、いい。古賀さんに頼まれたから俺が送っていく』

俺は素っ気なく断った。

多分、俺がフォーチュンに入ってから、拓海とまともに話したのは、これが初めてだろう。

俺の答えが気に入らなかったのか、拓海はほんの一瞬だが目を細めて俺を睨んだ。

『ダメダメ、片岡君は二次会も行くんだから!』

突然、雪乃が俺達の会話に割って入る。

周りにいた経営企画室の面々も『二次会どこ行きます?』なんて気を遣って俺に聞いてきた。
< 117 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop