難攻不落な彼に口説かれたら
「何歳くらいの子?」

「俺達と同じくらいの子。雪乃がいいと思うの参考にしようと思って」

「そうなんだ。何を買おうと思ってるの?」

仁ならセンス良さそうだし、私の意見なんて必要ない気がするけど……。

「このタイミングだとネックレスがいいかな」

「タイミング?」

首を傾げて聞き返すと、仁は「いや、こっちの話」と言ってどこか謎めいた笑みを浮かべた。

店員に売り場を聞いて案内してもらう。

ショーケースの周りは人だかり。

これは、見るのに時間がかかりそうだと思っていたのだけど、人が多かったせいか個室に案内された。

ふかふかの椅子に座ると、なぜか飲み物のメニューを手渡される。

カフェみたいだなって思いながらも、カプチーノをふたつ頼むと、手にビロードの箱を持った女性店員がにこやかな笑顔で現れた。
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