難攻不落な彼に口説かれたら
「それは、よかった。洋食の店はどこも予約いっぱいだったんだ」

今朝は私お昼近くまで寝かせてもらったし、きっとその間にお店に電話してくれたんだろうな。

仁が予約したお店は赤坂の方にあって、そこもカップルで混み混みだった。

「ここもカップルだらけだね」

何気なく言った言葉なのだけど、仁は急に不機嫌な顔になって注意する。

「俺達もカップルなのを忘れずに」

「あっ、そうでした」

まだ仁と恋人という実感はない。

苦笑いする私を横目で見ると、仁は近くにいた店員さんに「予約した片岡ですけど」といつものクールな顔で告げた。

仁を見てポッと頰を赤くする店員さん。

その反応よーくわかるよ。

テレビで観る俳優よりも仁はカッコイイもんね。

だから、彼と一緒にいるのが夢みたいで、クリスマスイブってせいもあるけど、目に映るものがキラキラして見える。
< 138 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop