難攻不落な彼に口説かれたら
次第に芝居っぽくなっている古賀さんの口に俺はまたらっきょうを放り込んだ。

「普通に話せませんか?周りの人にも迷惑ですよ」

冷淡な声でやんわりと古賀さんを注意する。

「あっ、悪い。冗談はここまでにしといて」

古賀さんが急に真面目モードの顔になり、言葉を切る。

「あんま小野寺挑発するようなことすると、奴もどう暴走するかわからんぞ。あいつ、お前を鬼の形相で睨んでたからな」

にこやかに仕事しながらも、そういうとこに目を光らせてるのは流石古賀さんと言える。

「わかっています。そのうち可愛いワンコから狼に豹変するでしょうね。古賀さんもあいつから目を離さないで下さい」

いつまでも大人しくはしていないはずだ。

だが、豹変するなら、俺の目が行き届く場所でなければ困る。

俺が出張中にそんなことになれば最悪だ。
< 152 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop