難攻不落な彼に口説かれたら
女の子に近づいて彼女の顔を見ると、目元が雪乃そっくりだった。

間違いない。

経営企画室って言っているし、彼女は古賀さんの娘さんだろう。

屈んで女の子に声をかける。

「心ちゃんだよね?」

「そうよ。あなた誰?」

心ちゃんは、少し警戒しながら俺を見る。

「僕は仁。君のお父さんと雪乃の友達だよ。経営企画室に行きたいなら、僕が連れてってあげるよ」

「本当?」

俺の言葉を聞いて、心ちゃんは少しホッとしたような顔をした。

「ああ。この子は僕が責任持って預かるから」

心ちゃんに向かって頷くと、受付の女の子に声をかけた。

「私、もう歩けない。抱っこして」

俺をジッと見ながら、心ちゃんは両手をあげてせがむ。
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