難攻不落な彼に口説かれたら
わがまま姫といったところ。

だが、雪乃が小さい頃もこんな感じだったのかと思うと可愛く思える。

「かしこまりました。お姫様」

恭しく頭を下げて跪くと、心ちゃんを抱き上げた。

「しっかり掴まってて」

「うん」

小さな手が俺の首に回される。

「ひとりで来たの?」

「だって、パパにプレゼント作ったから早く渡したかったの」

「ママは?」

「お友達のママと話し込んでるから……ちょっとパパに会うだけならいいかと思って……」

きっと心ちゃんのママは今頃必死になって探しているはずだ。

心ちゃんも声のトーンが落ちているし、悪いとは思っているのだろう。

「心ちゃん、気持ちはわかるけど、ママは心配してると思うよ」
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