難攻不落な彼に口説かれたら
「……はい」

引きつった顔で返事をすると、自席に戻った。

でも、なぜか片岡君の視線を感じる。

観察されているようで怖い。

やっぱり、さっきの髪の毛の件で、私にムカついてるのかな?

過去の経験からいうと、片岡君は打ち上げとかそういう集まりは嫌いだった。

生徒会長という立場上渋々参加しただけで、ずっとムスッとしてたもん。

今回はどうだろう?

社会人になったから、少しは社交的になったと期待したいとこだけど……。

秀兄と話している片岡君にチラリと目を向ける。ふたりは和やかに話していた。

美形のふたりが並ぶとなんか神々しく見える。

秀兄が太陽で、片岡君が月って雰囲気。

ふたりとも凡人とは違うオーラが漂ってるんだよね。

片岡君が異動してきて、きっと社内の女子は色めき立つだろう。
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