難攻不落な彼に口説かれたら
「雪乃にも優しいつもりだけど。まだ足りなかった?何なら今日もうちに連れて……‼︎」

楽しげに言う俺の口を雪乃は手で塞ぐ。

「ダーメ。家の掃除もあるし、今日は帰らなきゃ。それに身体が持たないよ」

ポッと顔を赤らめる雪乃。

そんな雪乃と俺を心ちゃんは交互に眺める。

結局、心ちゃんの意思を尊重して古賀さんが戻るまで預かることになった。

雪乃が会議資料の準備を心ちゃんに手伝わせるが、心ちゃんは真剣に取り組んでいた。

拓海が心ちゃんに近づこうとしたが、「このお兄ちゃん、目が怖い。あっち行って」と言って心ちゃんは拓海を瞬殺。

それを見た雪乃は苦笑していたが、拓海の本性を知る俺としては、子供は鋭いなって思った。

二時間程仕事を手伝うと、心ちゃんは椅子に座ったままうとうとし始めた。

眠っている心ちゃんをそっと抱き上げると、オフイスの奥にあるコミュニティスペースの長椅子に彼女を寝かせる。
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