難攻不落な彼に口説かれたら
「あ〜、心も大人になったらわか……‼︎」

「わかんないよ〜!」

古賀さんの胸をドンと叩いて心ちゃんは泣き叫ぶ。

年末ということもあって、古賀さんはほぼ毎日のように会食が入っている。

心ちゃんも寂しいんだろうな。

「古賀さん、今日は風邪引いてるんですよね。会食は俺が代わりに出ますから、今日は早く帰って下さい」

「え?片岡?」

古賀さんは俺を見てポカンとした顔になる。

「今日はクリスマスですよ。家族で過ごせばいいじゃないですか。貸しにしておきます」

古賀さんの耳元で声を潜めると、「片岡、悪い」と言って彼は俺に手を合わせた。

「パパ帰れるのね!心、雪乃ちゃんにクマのぬいぐるみとこのネックレスもらったんだよ」

心ちゃんは、嬉しそうにぬいぐるみとバラの花のネックレスを見せる。

「良かったな、心」
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