難攻不落な彼に口説かれたら
古賀さんは優しく微笑むと、心ちゃんの頭を撫でた。

こんなデレ顔の古賀さんは初めて見るな……そんなことを思っていると、心ちゃんに声をかけられた。

「お兄ちゃん」

「何?」

俺が屈んで心ちゃんと目を合わせると、彼女は俺に顔を近づけて耳打ちした。

「ありがとう。お兄ちゃん、雪乃ちゃんの彼氏なんでしょう?結婚式には私ベールガールやってあげる」

父親は仲人で、娘はベールガール。

似た者親子と言うべきか。

だが、頼もしい味方には違いない。

「楽しみにしてるよ」

心ちゃんの髪を撫でて微笑むと、彼女は再び父親の元に戻った。

古賀さん親子が去ると、俺はミーティングルームを片付けながら、雪乃に声をかけた。

「古賀さんの会食場所の詳細、後でメールで俺に送って」
< 164 / 294 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop