難攻不落な彼に口説かれたら

「そういう過信が危ないって知ってる？古賀さんだっていつ狼になるかわからないよ」

「おい、こら片岡！人をケダモノのように言うな！」

秀兄が出社してきてギロッと仁を睨むが、仁は平然とした様子で言う。

「男は、みんな狼だって彼女に教えてたんですよ。古賀さんだって否定は出来ないでしょう？」

「うっ……」

仁の言葉になぜか秀兄は声を詰まらせる。

「秀兄どうしたの？」

秀兄に声をかければ、彼は私から目を逸らし、頭をかきながら急に話題を変えた。

「あ〜、何でもない。あっ、片岡、昨日はありがとな。心がすごく喜んでた」

「いいえ。心ちゃんが喜んでくれて良かったです」

仁は、柔らかな笑みを浮かべる。

すると、専務秘書の美鈴さんが現れた。

「おはようございます。ふふ、なんか三人とも楽しそうでいいわね。片岡さん、専務が始業前に話をしたいらしいんだけどいいですか？」