難攻不落な彼に口説かれたら
そんな私の恐怖が、美鈴さんにも伝わったのだろうか?

彼女は私と同じ寮に住んでいて、五階にある私の部屋まで送って行ってくれた。

「雪乃ちゃん、明日一緒に会社に行こう。ゆっくり身体を休めるのよ。お休み」

「ありがとうございます。おやすみなさい」

家にひとりになると、今日起きた出来事が思い出されて怖かった。

着ていた服を脱いで近くにあったゴミ箱に捨てると、仁にもらったネックレスをお守りみたいにギュッと握り締める。

大丈夫。

私にはこのネックレスがあるもん。

大事なネックレスを外すと、ケースにそっと入れた。

ふと腕時計に目をやれば、午後九時を回っている。

夕食を食べる気分じゃない。

サッとシャワーを浴びると、部屋着に着替えてベッドに横になりながらテレビを観た。

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