難攻不落な彼に口説かれたら

古賀さんが出社してきて、雪乃の足に目を止めた。

「イチャついてませんよ。彼女が捻挫したので足の状態を見ていたんです」

そう反論すると、古賀さんは雪乃を心配そうに見た。

「いつ捻挫なんかしたんだ？」

「昨日、帰宅途中に……」

雪乃は小声でそう言うと、俺に目で助けを求めた。

人に押されて捻挫したなんて古賀さんに言いたくないのだろう。

彼が心配するに決まってるから……。

「古賀さん、ちょっと」

古賀さんを呼んで、雪乃から離れたところで話しをする。

「あの怪我、秘書室の田中さんの話だと駅で女性に押されて階段から落ちたみたいなんです」

「あぁ？」

古賀さんが目を細めドスの効いた声を上げる。

「落ち着いて下さいね。俺だって堪えてるんですから」