難攻不落な彼に口説かれたら
「……悪い。で、その女、小野寺絡みか?」

「これから確認してきます。物騒なんで、しばらくは彼女をうちに泊まらせるつもりです」

警察に相談したところで、直接守ってはくれない。家の周りをパトロールするくらいだろう。

「その方がいいだろうな。今日は定時になったらお前も雪乃と一緒に帰れ」

「ですが、今日の会食……」

「片岡は酷い風邪で帰らせたって言っとく。先方に移したら大変だからな」

古賀さんが俺の目を見て、ニヤリとする。

これで先日の借りを返すつもりなのだろう。

「では、お言葉に甘えて」

「ああ。雪乃の側についていてくれ」

「わかりました。俺、ちょっと席を外します。あいつにまずは確認しないと」

そう告げて俺が向かったのは、ひとつ下のフロアにある男子トイレ。

このフロアは会議室や応接室が並んでいて始業前は人が少ない。
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