難攻不落な彼に口説かれたら
俺の問いかけに、拓海は心外だと言うような顔をした。

「はあ?雪乃先輩を怪我させて俺に何のメリットが……。あっ、ひょっとして」

急に表情を変えると、拓海は考え込むように顎に手を当てる。

「何か身に覚えがあるのか?」

「クリスマスの夜……お前らに頭にきてヤケ酒飲んでたら、馴染みのキャバ嬢が俺を誘ってきて……そのままホテルへ行ったんだ。俺に執着してる女でいつもなら相手にはしなかったが、その日は自棄になってて……気付いたら朝になってた。雪乃先輩のこととか会社のこととかいろいろ話したような気がする。そう言えば、俺のスマホにも何度もその女から着信があったな。全部無視したけど……」

「お前……女遊びも大概にしないとそのうち刺されるんじゃない?」

呆れ顔でそう言うと、拓海はフンと鼻で笑った。

「そんなヘマするかよ」
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