難攻不落な彼に口説かれたら
それから雪乃とふたりで会社を後にすると、途中彼女の寮に寄って俺の家にタクシーで帰った。

キッチンの冷蔵庫を見ながら、夕飯を考える。

週二で家政婦さんが来てくれるので、食材は割と揃っていた。

「お腹は?」

後ろを振り返り、雪乃に聞く。

「うーん、あんまり空いてないかな」

雪乃はお腹に手を当て、考えながら答える。

予想通りの回答。

「言うと思った。ちょっと手伝って。鍋にしようと思ったけど、餃子作りたくなった」

まだ六時半過ぎだし、時間はたっぷりある。

「餃子も作れるんだ?」

雪乃は感心したように言う。

「まあね。小学生の時に母親に教えてもらった」

「あっ、私も小学生の頃、よく餃子作るの手伝ったよ」

昔を思い出してか、雪乃の目が輝く。
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