難攻不落な彼に口説かれたら
頰がピンクに染まって色っぽい。

「もっと欲しいって顔してるけど、どうする?」

ニヤリとしながら雪乃に問いかけると、彼女は少し悔しそうに答えた。

「……キスして欲しい」

「珍しく素直だね」

クスッと笑うと、もう一度雪乃の唇に口付けた。

このままベッドに押し倒したいところだが、今日は会社もあるし理性で思いとどまる。

「着替えたら、ダイニングにおいで」

名残惜しげに雪乃の唇を指でなぞると、彼女から離れてキッチンに向かった。

オーブンからパンを出してテーブルに並べていると、雪乃がダイニングにやってきた。

足を少し引きずっているが、その歩き方に慣れたのか、ぎこちなさはだいぶなくなってる。

「あ〜、パンのいい匂いがする。ひょっとして作ったの?」

「いや、期待させて悪いけど、冷凍のを焼いただけ」
手間はほとんどかかってない。
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